電脳コイル

最近見たアニメの感想

「電脳コイル」２１～２６話

つづきはこちら

コードギアスＲ２

最近見たアニメの感想。
今期はコードギアスだけに絞ります。
マクロスとキバは捨てました。

「コードギアスＲ２」 ５～１１話

つづきはこちら

終戦のローレライ

福井晴敏「終戦のローレライ ４巻」

大長編のローレライをようやく読了。
素晴らしい物語に出会うと、そのことについて本当に感謝したくなります。

朝倉大佐によるアメリカ軍との密約。
そして艦内での反乱。

朝倉が語る未来絵図を否定した伊５０７のクルー達は
自らの宿命と向き合い、最終決戦の海へ赴く。

遂にその魔力の全てを解放した伊５０７とローレライの魔女は
米国特別編成艦隊を相手に 鬼も哭くほどの戦いを演じるのです。

伊５０７の痛快な戦いぶりに大興奮。
そして…感涙必至。

“富野イズムの継承者”の福井さんらしく、伊５０７のクルー達は
主人公たち２人を除いて 全員が壮絶な最期を迎えます。

月並みな表現ながら それはまさに男達の挽歌。

それぞれに凄惨さを極める死にざまが描写されますが
信念に殉じる者には 魂の安らぎを
臆病者達には 相応にみじめな死にざまを
神である作者は与えました。

そして、エピローグは流行歌で綴る戦後史。

この作品について 一部では長すぎるという評価もあるようですが
大ボリュームの物語を経て辿り着いたエピローグだからこそ
万感の想いを持って読み終えることが出来たと思います。

ちなみに、この物語を読み解くサブテキストとして
ＢＳアニメ夜話の「伝説巨人イデオン」の回も見逃せません。

福井さんは、映画版イデオンを見たときの衝撃が忘れられず
創作の時 常に、映画版イデオンより上か下かという視点を
心懸けておられるそうです。

最初はエゴ丸出しでいがみ合っていた ソロシップのクルー達が
最終決戦を前に、お互いを思いやり心を通わせる描写は
規格外品として集められた伊５０７のクルー達が
反乱をきっかけに 次第に結束していく様子と重なります。

他者とのふれあいや繋がりをテーマに 丁寧な人間描写を重ねる手法は
他のオタク世代の作家には見られない ハートフルなスタイルだと思います。

ところで、残念ながら私は映画版のローレライを見ることは無いでしょう。
これだけの物語を読んだ後では、面白く感じることは難しいと思うからです。

ただ、ピエール瀧の掌砲長だけは見てみたい気がしますね。


このエントリーのＢＧＭは
戸田恵子で「コスモスに君と」でした。

コスモス宇宙をかけぬけて
祈りを今 君のもとへ

エクスマキナ

今日の感想
「アップルシード エクスマキナ」

現在より１００年以上先の未来。
第４次世界大戦により荒廃した世界を管理しているのは、人造人間バイオロイドによって運営されるハイパーテクノロジー都市・オリュンポスであった。

主人公・デュナンとブリアレオスは、オリュンポス警察組織のスーパーエリート部隊ES.W.A.Tのエース。
ブリアレオスは先の大戦での負傷により、全身をサイボーグ化され、外見上は昔の面影はない。
ある日、ブリアレオスの遺伝子を受け継ぎ製造されたバイオロイド・テレウスが二人の前に現れる。
テレウスは、生身の頃のブリアレオスと全く同じ外見を持っていたのであった。
動揺を隠せないデュナン…。

一方オリュンポスでは、秘かに世界を脅かす程のサイバーテロが進行していた。
デュナン・ブリアレオス・テレウスの三人は、お互いに微妙なわだかまりを抱いたまま、否応なく事件に巻き込まれていくのであった。

概ねのあらすじはこんなものなんですが、はっきり言って、書いていて嫌になりました。
こんなのアップルシードじゃないよ！

男女の三角関係とか、デュナンにプラダの洋服を着せるとか、プロデューサーにジョン・ウーを起用するとか、プロモーションに余念が無いのは解るんですが、そんなのアップルシードでやる必要無いですよ。

マグスもモートンもスドーも出ないし、隊長は多分ランスなんだろうけど、あんまり切れ者っぽくないし、オマケにES.W.A.Tは全然精鋭部隊に見えないしで良いとこなしです。
さらに、ニケ参長は可愛くないし、アルゲスは何故かポセイドンの人間だし、もうムチャクチャ。

正直、ストーリーに関しては、まだ前作の方が士郎正宗のスピリットを受け継いでいたと思います。
前作は、少なくともＳＦをやろうとしていましたしね。
っていうか、このエクスマキナは途中からゾンビ映画になっちゃうんですよ。
なんだよそりゃ、もう勘弁して下さいよ…。

モーションキャプチャーを用いた３ＤＣＧキャラのアクションは、ジョン・ウーというよりウォーシャウスキー兄弟を思わせます。
アクションの見せ方に関しては、マトリクスから全然進歩していないですね。
もともと士郎正宗の漫画に影響されて マトリクスという作品が生まれたのに、その手法を本家のアニメ化作品にそのまま適用するのは、あまりに芸がないと思います。

作画と音楽は素晴らしいので、本当に残念です。
特にHASYMOによるＢＧＭは最高ですよ。

ボロクソ書きましたけど、アップルシードはやはり思い入れの深い作品なので、商業主義に流される感じには納得がいきません。
ここまで作り込まれた３ＤＣＧを再利用しない手は無いので、シリーズ化もあり得るのでしょうが、次の作品では是非 原作に対するリスペクトが感じられるようにして頂きたいものですね。


このエントリーのＢＧＭはHASYMOで「RESCUE」でした。

精霊の守り人

今日の感想
「精霊の守り人 21・22話」

精霊の卵の目覚めの時を待って、山深い祠で冬ごもりをするバルサとチャグムたち。
バルサは自らの過去、そして育ての親・ジグロのエピソードをチャグムに語って聞かせる。
それは、チャグムに勝るとも劣らない 過酷な宿命を生きた一人の少女の物語であった…。

以前本放送で見たときにも、特に印象深い話でしたが、今回ＤＶＤであらためて見ても、やはりグッと来ますね。

天下随一の武術の名声と国の武術師範の地位を捨ててまで、自分を救ってくれた養父への想い。
それらを、理解できる部分、未だに解らない部分ときちんと整理を付けた上で、チャグムに語るバルサは、アニメ史上にも希な
成熟した大人のキャラクターです。

ともすれば、大人も弱いとか迷っているとかいうようなメッセージに溢れた昨今ですが、せめて物語の上でもこういう人物を描くのは大切なことです。

ところで、このアニメでのバルサって、特にモデルとしてイメージしたと思われる人物を思いつかなかったのですが、こないだＢＳでやっていた
「椿三十郎」を見てピンと来ました。
バルサ・イコール・三船敏郎as用心棒じゃないですかね。

戦闘力・技量・機知・侠気のどれを取っても貫禄のキャラクターは、実によく似ていると思います。
オマケにどちらもさすらいのバウンサーだし、年齢も３０歳で三十郎だし。
ちなみに、先頃完結した原作シリーズは全１０巻らしいので、最後の頃はバルサももうすぐ四十郎って感じでしょうね。

さて、物語はいよいよクライマックスへ。
絶対死の運命を乗り越えて、少年よ神話になれ。


このエントリーのＢＧＭはザ・バンドで「I Shall Be Released 」でした。

仮面ライダーキバ

今日の感想
「仮面ライダー キバ 13・14・15・16・17話」

ゴールデンウィーク前からたまっていた録画を一気見。
「キバ」は本当に話が進まないので、適当にとばしながら一気に見ることをお奨めします。
流れでみると、結構面白いですよ。

13話と14話は関西人ロッカーと渡くんの心の交流の話。
ファンガイアは、そんな夢を持ったヤングばかり襲う変態チックなヤツ。
ついでにデビュー資金と称して、せこい詐欺もやってます。
ちなみに人間時の姿は、故・黒川紀章さんに似ていました。

15話と16話は最強ファンガイア・チェックメイト４の内のひとり、ルークが登場。
ちなみに人間時の姿は、ドリアン助川さんに似ています。
超強いので、キバもやられちゃいますが、新たな力を手に入れたイクサの乱入で、勝負はうやむやに。
キバに負けていじけていた名護くんも復活です。
つーかイクサの新たな力って ユンボかよ、重機来ちゃったよ！

16話での意味深な引きを全く無視して17話は新たな展開。
何故か名護くんは またやさぐれてしまってます、なんで？


ここで わたくし的 仮面ライダーキバ・登場人物の解説！

紅渡：主人公。キバに変身する。対人恐怖症の引きこもりだが、美容院と洋服屋にはマメに通っているみたいで、超おしゃれさん。
シーズンに関係なく巻いている襟巻きがトレードマーク。中尾彬かオマエは。

紅音也：渡の父親。キ○ガイ。超KY。

名護啓介：イクサに変身する。超石頭。たぶん岡田准一を意識している。

麻生恵：見えそうで見えないパンチラ無しアクションが得意技。モバイトドットコムに登録して「素晴らしき青空の会」に入ったと思われる。

麻生ゆり：恵の母親。この物語で、ひとりだけ超頑張って86年している人。三井ゆりに似ていると思う。

野村静香：渡のガールフレンド。ロリ向けキャラ。

木戸明：登場人物のたまり場になっている喫茶店のマスター。ライダーにサテンのマスターは付きものです。

嶋護：今回のおやっさん的立場の人。86年の時点では何故か田村正和風のズラを装着。体脂肪率が気になって仕方がない様子。
多分愛飲しているのはヘルシア緑茶。

次狼：狼男。怪物三人組のひとり。クールでワイルドなタフガイだが、実はゆりとセックスをしたくてしょうがない様子。所詮犬ですね。
ときどき奸計を弄して音也を嵌める。今のところ主人公の次に目立っている。

半魚どん：半魚人。怪物三人組のひとり。ショタ向けキャラ。

フランケン：フランケンシュタインの怪物の末裔。つまりサンダかガイラのどちらかの子孫。怪物三人組のひとり。超影が薄い。

このエントリーのＢＧＭは元プリンスで「endorphinmachine」でした。

終戦のローレライ

今日の感想
「終戦のローレライ ３巻」

米国海軍の潜水艦とのドッグファイトを制した特殊潜水艦・伊５０７は、太平洋の孤島ウェーク島へ辿り着く。
そこに待ち受ける朝倉大佐から、密命を受け取った絹見艦長以下の乗組員は、アメリカ西海岸へ向けて慌ただしく出航する。
だがそれは、朝倉大佐の壮大なる陰謀であった…。

終戦間際の数日間に起こった、仮想の「知られざる歴史」。
巻の冒頭のあたり、広島へ投下された 原子爆弾によって引き起こされた 恐るべき大惨事の、とてつもなく凄惨な描写に思わず息を飲みます。

そして田口掌砲長ことピエール瀧と 朝倉大佐こと堤真一の、南方戦線での地獄の日々と そこで生き残るために行った「聖餐」。
そして、そこで得たある確信に従って、「国家の切腹」を目論む朝倉の心情と行動に説得力を与えるため、これでもかと言わんばかりの圧倒的な描写が続きます。

朝倉の夢想した「国家の切腹」を敢行して終戦を迎えた後の日本は、私には村上龍の「五分後の世界」を連想させるものでした。

そういえば村上龍さんは、何故日本は本土決戦をしなかったのか？という疑問を元に、「五分後の世界」や「愛と幻想のファシズム」を書いたとおっしゃっていましたが、今思うとその考えは バブル景気を背景にした日本無敵の時代だったからこその発想のように思えます。

福井晴敏さんは、まるで逆で、何故アメリカは日本民族を絶滅させなかったのか？という疑問からこの「終戦のローレライ」を書かれたように感じます。

イラクやその他の国を見ても、歴史上 アメリカが打ち負かした敵国をここまで大事にした例は他には見あたりません。
敗戦からの復興は、勿論日本人の頑張りもあったでしょうが、アメリカの寛大な処置無くしてはあり得ないですよ。
アメリカってそんなヌルい国じゃないですよね？
戦後の日本とアメリカの関係って、本当に謎なんですよ。

歴史の行間を空想して、とてつもない物語を紡ぐ。
しかも、このローレライには「５０才以上の人にガンダムをどう理解させるか」という裏テーマまであるらしいんですよ。
福井晴敏さんは、本当に恐るべき才能を持った、現代最強の語り手のひとりだと思います。

ところで、物語の一端を担う複数の主人公の内、特に印象的な人物のひとり「フリッツ少尉」を映画版だと誰がやっているのか気になったのですが、何と映画には登場しないんですね。
うっそだ～！
さらに３巻での印象的な登場人物「土谷少佐」も登場せず。

映画版を見る気がだんだん失せてきました…。


このエントリーのＢＧＭは レッドツェッペリンで「胸いっぱいの愛を」でした。