４月２９日（ザブングル）

今日の感想
「ザブングル ４８話 ４９話 ５０話」
ラスト前から最終回。
何となく「スター・ウォーズEP6 ジェダイの帰還」を思わせる展開なのですが、実際にはSWの公開は翌８３年なので、私の気のせいです。

アーサー様の自己犠牲によって正気に戻ったエルチ、とんでもない戦闘能力を発揮して、最後の美味しいところを持って行きます。
ヒロインが主人公を差し置いて一番強いなんて、当時のアニメでは考えられないですよ。
敵に回ったときは、それなりに弱くてドジな感じにセクシーなコスチュームも相まって、可愛く感じられたのですが、正気に戻ったらやっぱりダメですね。
アリャじゃじゃ馬を通り越してるよ。

さて、４９話ではこのアニメで一番有名な「衛星軌道から飛来するICBMをキャッチするウォーカーギャリア」を見ることが出来ます。
これはもう、ガンダムの「音速で接近するICBMをビームサーベルでぶった切るアムロ」を越えてます。
アムロは多分、ディオや009のように時間を止める能力を持っているんだと思いますが、ジロンは何なんだ。男の子だから出来たのか？

最後は大団円。
ラストまで登場できた連中も 途中退場した連中も全員顔を見せて、カーテンコールです。
君は走るか？俺たちゃ走る！♪霞んだ地平の～


ところで、ザブングルというお話を巨視的に見ると、一つの神話と言えるかも知れません。
まぁ、富野作品は 全てが神話的な話といっても過言ではないのですが。
ザブングルという物語は、神であるイノセントが シビリアンという人間を創造するという、人類創造の物語であるといえます。

ちなみにシビリアンとは本来 文民と訳されて非戦闘員の意味です。
また、シビリアン・コントロールの言葉もあるように、本当ならこの物語のイノセントにあたるポジションを意味するはずです。
そしてイノセントとは無垢の意味で、これは旧約聖書の原罪を被る前のアダムを連想させます。
つまり これは制作者側の意図的なものだと思うのですが、イノセントとシビリアンには、ネーミングから本来連想されるものとは逆の役割を与えているわけです。

さらに、ザブングルの一つ前の富野由悠季監督作品といえば、イデオンなのですが、私はイデオンとこのザブングルでワンセットなのだと考えます。
どちらも神話とＳＦの組み合わせで物語が構成されており、イデオンはスペースオペラに神話的終末の組み合わせ、ザブングルは神話的創造の物語にＳＦ的背景の組み合わせとなっています。
どちらも大きな枠組みでは同じ物語で、創造と終末を描いていると言えるでしょう。

ひょっとしたら、イデオンの地球人類はシビリアンの末裔で、バッフ・クランは外宇宙に移住したイノセントの末裔なのかも知れませんね。
イデオンでは、両者の種族の間に子供が出来ている事からも、本来は同族であった可能性が高いと思います。

実際は イデオンであまりにも悲劇的なラストシーンを描いてしまった反動のせいで、富野監督の中でこんなＣ調なメタフィクションが生まれてしまったのでしょうが、そうだとしても、やはりイデオンとザブングルは切り離せない作品だと 私は思います。

ちなみにこのテキストのBGMはもちろん、串田アキラで「疾風ザブングル」でした。
ライブヴァージョンでどうぞ！