明日無き世界

最近見た映画の感想

ピーター・バーグ/監督
ジェイミー・フォックス/主演
「キングダム 見えざる敵」

舞台はサウジアラビア。
外国人居住区において、地元の警官を装ったテロリスト達による、自爆テロ事件が起こる。
テロに巻き込まれて死んだ現地駐留のＦＢＩ捜査官、そのアメリカ本国の同僚たちが、サウジへ乗り込み捜査に当たる姿を描く。

プライベート・ライアン以降の超ハードな戦闘描写の流れをくむ、サスペンス・アクション映画です。

冒頭の自爆テロシーンからして凄惨きわまりなく、逃げまどう人々を誘導する警官（を装ったテロリスト）による自爆シーン、さらに駆けつけた救急車までもが爆発するえげつなさに、思わず息を飲みます。
物語の部隊はサウジアラビアですが、現在のイラクの惨状を示唆していることは間違いないです。

事件にあたって現地へ乗り込むＦＢＩ捜査官のジェイミー・フォックス達ですが、当然彼らに捜査権限は無く、現地警官へのオブザーバーという、招かれざる客扱いを受けます。
しかしそこはそれ、色々な手練手管を使ってサウジの王子を籠絡、地元のホスト警官ともプロ同士の友情を築いて捜査を進めます。
このあたりの頭脳プレイと、プロフェッショナルなＦＢＩ流の科学捜査で、事件の真相と犯人を追いつめていく描写が非常にカッコイイです。実に燃える！

そしてクライマックスは超ハードなカーチェイス、そして銃撃戦また銃撃戦！
手持ちカメラのブレブレ映像を交えつつ、２秒くらいのカットをビシバシ繋いだアクションシーンは、「トゥモローワールド」の長回しともまた違った緊迫感です。

ハリウッド映画らしく、最後は一応事件解決で終わるのですが、やりきれなさの残るしんみりとしたラストシーンでした。
ＦＢＩ捜査官達はヒーローとして描かれているのですが、ムスリムのテロリスト達は必ずしも極悪人として描かれておらず、止むに止まれず行為に走る描写もきちんと織り込まれています。
911テロの被害者であるアメリカ人どう思うかはわかりませんが、その辺りも私は良い映画だなと思いました。
そして何より、尺が短くてテンポが良いんですよ！全編で１００分弱くらいです。

実際問題、ＦＢＩ捜査官が外国でテロ事件の捜査に当たるなんてことが、可能かどうかは良くわかりません（笑
しかし、エンターテインメントとしての面白さと、誰もが考えさせられるシリアスなテーマを両立させた良作だと思ました。